花婿が結婚式の途中で山に逃げ、三三九度から最後まで花婿は代役で行われた結婚式!
結婚式を中止することができないというのが習慣だった上長井村。
その習慣にすっぽりはめられたマツ・・。
惨めな気持ちのまま結婚初夜を迎えてしまいます・・
村人たちがみな帰った後、ヨネが二人のために準備した部屋に布団を二組並べます。
{オメーたちは、今晩からここで寝るんだ!オメーたち夫婦の部屋だからな!}
そう言うヨネをマツは無言のまま見つめています・・・
武造が先に部屋に入りました。
マツはなかなか入ろうとしません。
武造はマツが気になり、部屋から顔を出してマツの様子をうかがっています・・
我慢が限界にきていたマツは、部屋に入らず玄関の方に向かって歩き出しました。
関衛門とヨネの部屋の前を通ります・・・
足音に気付き、マツの気持ちを察したヨネが部屋から出てきて{マツ、オメーの家はここだ!何処に行く気だ?}
マツは下を向いたまま黙っています・・
{マツ、今日の結婚式はオメーには申し訳なかっただー・・・武造のしたことはあってはならねーことだった・・・悪かったなー・・・・だけども、もう結婚式はしてしまっただー、オメーは武造の嫁になっただー、オメーはこの家を継ぐんだ!}
じっと黙っているマツは、悔しく惨めな気持ちを処理できません・・・
{マツ、オメーの気持ちはよー分かるだー・・だけど、オメーは武造の嫁としてこの家を継がねばならねーだー、さーオメーたちの部屋に戻るんだ!そして、明日は村の女の人たちが来るから餅を作らねばならねー。オメーは四時に起きてきてけろ!}
※「上長井村では、結婚式の翌日(二日目)は村の各家から女の人だけが来て二人の結婚を祝いました。そのために花嫁は朝早い四時に起きておもてなしの餅を作らねばなりませんでした。」
手をひかれて部屋に戻されたマツは、布団の上に座っている武造を見ます・・。
ますます怒りがこみ上げてきました・・・
武造はマツをじっと見ています。
もともとマツが嫌いではない武造は、ずっと下を向いているマツに近づこうとします・・・
{オラに近寄るでねー!!}
マツは、とうとう堪え切れなくなり大声で叫んでしまいました・・!
もちろん、武造には聞こえません・・・
様子がおかしいマツの気持ちにようやく気付き始めた武造は、マツをなだめようとしてまたもや近づこうとします・・
マツは腕を大きく振り、{オラに近づくな!と言ったではねーか!}
そう言ってマツはわんわん泣き出しました・・・
武造はただ呆然として見ています・・・
マツに近づくと・・・マツは拒否します・・
マツの大きな声と泣き声は、関衛門とヨネの部屋までハッキリ聞こえました・・・・
関衛門とヨネは・・ただ黙ったまま・・横になっていました・・
武造は、マツに近づくことができなく・・一人布団に入り・・・いつの間にか・・・眠りに入っていました・・・・。
眠り込んだ武造を見て、マツはますます悔しくなってきました・・
怒りと悔しさで涙が止まりません・・
結婚初夜は、マツはまったく横にならず部屋の隅でずっと泣いていました・・・。
一睡もしないまま、マツは朝四時をむかえます。
結婚式第二日目です・・・・


