「武造とマツの物語(新)」

【小説】 身体障害者に理解がない時代にマツは、幼少のとき親同士で決め

た「ろうあ者」との結婚のため養女にいく。偏見や逆境に遭いながらも前向きに生きていく。



2008年07月29日

第31話 学校をのぞくマツ

学校に行けずに、野菜の行商をすることになったマツは、関衛門とヨネに自分の気持ちを言えずに、

重い気持ちのまま、野菜をいっぱい入れた籠を背負い行商に行きました。

マツは、ヨネから「野菜が全部売れるまで、家に帰ってきてはならない」と言われていたので、

背中に背負っている野菜が、よけいに重く感じました。

マツは、心の中で「姉チャたちも野菜売りしてるんだ!!」と言いながら、それを励みに行商に行きます。

この日から、マツはヨネが準備した「おにぎり」をもって行商に行きました。

お昼も家に帰らないで、途中、気に入った場所を見つけてそこで、おにぎりを食べました。

街の方に行商に行きましたので、自分が通っていた小学校とは違う学校がありました。

マツは、おにぎりを食べてから、その小学校をのぞいてみます。

お昼の時間で、児童たちはお弁当を食べ終わって自由にお昼休みをしていました。

やはり、男の子がほとんどで、わずかな人数だけ女の子がいました。

マツは、女の子たちが集まって楽しそうに昼休みを過ごしているのを見て羨ましく思います。

誰にも気づかれないように、しばらく「ずっと」見ていました。

昼休みが終わり、生徒たちは授業が始まります。

マツは、野菜籠の中を見ます。

まだまだ、野菜が残っているのを見てマツは気が重くなります。

それでも、早く野菜を全部売らないと家に帰れないと思い、野菜籠を背負って行商に向かいました。

野菜を快く買ってくれる人もいれば、すぐに断る人もいます。

マツは行商がなかなかなじめません。

表情も暗くなってきます。表情が暗くなってくると野菜も売れにくくなってきます。

 家の人:{オメー、行商に慣れてねーんだなー、もっとニコニコしないといけねーぞ!
      そんな顔してたら野菜も売れねーではねーか。
      可愛い顔しとるでねーか、ニコニコしながら野菜売ると、買ってくれる人が
      増えるだよ!}


そのように、親切に諭してくれる人もいました。

マツは、籠を早く空っぽにしたいので、言われたとおりに努力しました。

思いっきりニコニコして、{オラの家で採れた野菜、買ってけろ!}

そのようにして、家々を回りました。

にこにこした、マツの可愛い顔を見て、{オラの家、今野菜はあるけど、オメーの野菜も食べるから買うべー}と言って買ってくれる人が多く、
その日は、思ったより早くに籠は空っぽになりました。

マツは空になった籠を背負い、足取り軽く家に向かいました。

マツが家に着いてしばらくして、武造が学校から帰ってきました。

武造はマツが家にいるのを見て、嬉しくなり早速マツと遊び始めます。

ヨネは晩御飯の準備を始めていました。

一日中、行商を頑張ったマツはお腹ぺこぺこでした!!

晩御飯は、とっても美味しくおかわりして食べました。

まぶたが重くなって寝る頃になると、雨が降り出してきました。

マツは、その雨の音を聞きながら「明日はこのまま雨が降るかもしれねー、そしたら行商に行かなくてもいい。」

そう思いながら、眠りにつきました。

マツが思ったとおり翌日は雨でした。

マツの行商はどうなったかは次の記事に続きます。

ラベル:学校 行商 野菜
posted by junko at 15:22 | TrackBack(0) | 武造とマツの物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月15日

第30話 行商は普通のこと

マツが学校に行かないで、行商に行くことを武造に納得させるために、どうしたらよいかを関衛門とヨネは考えました。

関衛門:{武造はマツと学校に行くことをとってもよろこんでいるだー、ほんだから、
      これからマツに行商に行ってもらうことをどのようにして分からせたら
      ええかなー?}



 ヨネ:{ほんだなー、武造は耳が聞こえねーから話して分からせることは
      できねーだー・・・}


二人は、しばらく考え続け・・そして思いつきました!!

《翌日、武造に行商について教えることにしました》

朝御飯を食べながら関衛門はマツに言います。

 関衛門:{マツ、今日は武造もオメーも学校に行かなくてもええからな}

 マツ:{武造もオラも学校に行かなくてもええんだかー、何でだべ}

マツは、武造も一緒に学校に行かないということなので、自分は行商に行かなくてもいいと思い、少し安心しました。

そして、家族で何か別のことをするかと思ったのです。

 関衛門:{ご飯が終わったら、武造も一緒にオメーの姉チャの家(マツの実家)に
      行こうなー}


マツは、実家に行けると聞き嬉しくなりました。

嬉しくて、ご飯を早いペースで食べ終わり、心わくわくして実家に行くのを待っていました!!

ヨネは武造に、今日は学校に行かなくてもよいことを身振り手振りで分からせました。

武造は不思議に思いましたが、マツも一緒だと分かると素直に学校に行かないでいました。

ご飯が終わり、関衛門はマツに武造と一緒にしばらく家にいるように言います。

そして、関衛門とヨネはどこかに行きました。

しばらくして関衛門とヨネが帰ってきてから、二人は武造とマツをマツの実家に連れていきます。

マツの実家では、畑から野菜を収穫してきて、それから行商に行く準備をしていました。

マツの姉チャたちも手伝っています。

姉チャたちは、籠にいっぱい野菜を入れて背中に背負いました。

実は、マツの姉チャたちも学校に行かないで行商の仕事をしていたんです。

当時は、生活が苦しい家は子供が行商の仕事をするのが普通のことでした。

関衛門とヨネは、前もってマツの実家に来て、武造に姉チャたちも学校に行かないで行商に行ってるところを見せてほしいと頼んでいたのです。

姉チャたちが行商に行くところを見た武造は、マツだけが学校に行かないで行商をしているのではないことが分かりました。

関衛門とヨネは、二人をさらに別の家にも連れて行き、そこの子供がやはり、籠に野菜を入れて行商に行くための準備をしています。

このようにして、関衛門とヨネは耳の聞こえない武造に、おなごん子(女の子)は学校に行ってないのが普通のことであることを、実際に見せて教えたんです。

武造は、関衛門とヨネが自分に何を教えたいかを理解しました。

それでも、マツと一緒に学校に行けないのは面白くありません。

武造は、マツは自分と一緒に学校に行けるようにしてほしいことを訴えます。

マツは、関衛門とヨネが姉チャたちも学校に行かないで、行商に行ってることを実際に武造と自分に見せたことで、関衛門たちが、自分にこれから行商させるつもりであることを悟りました。

マツはがっかりしました。

武造の訴えも関衛門とヨネは、断固として受け入れませんでした。

武造は面白くないながらも、なんとか自分の内で処理していきました。

このようにして、マツはそれ以来、行商に行くことになりました。

その翌日から、マツは嫌々ながら行商にいきます。

そのことは次の記事に続きます。

ラベル:行商 野菜
posted by junko at 13:07 | TrackBack(0) | 武造とマツの物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月08日

第29話 学校への思い

翌朝になりました。

朝御飯を食べながら、マツは今日こそ学校に行けることを期待して、
関衛門とヨネに言います。

 マツ:{今日はオラも武造と一緒に学校に行けるだかー?}

マツは、関衛門とヨネがにっこり微笑んで、行ってもいいよ!と言うのを期待して二人を見ます。

ヨネは関衛門がマツに話すように促しました。

関衛門は、マツの顔をじっと見ました。

丸顔でほのかに赤らんだ頬をした愛らしいマツを見て、絶対にマツを将来、武造の嫁にしたいと思います。

また、マツが他で好きな男が出来たり、逆に、マツを好む男が出来たりしたら面倒なことになると思います。

 関衛門:{マツ、昨日は一人で行商に行って、野菜売ってこれたでねーかー、
      オメーが野菜を売って金を稼いでくるとうちも助かるだー、
      ほんで今日も、行商に行ってくるんだ、ええな!}


関衛門の言葉を聞いて、また学校に行けないと知り、マツはがっかりしました。

感の良い武造は、マツたちの会話や表情の様子を見ていて、マツが今日も学校に行けないことを悟りました。

そして、関衛門とヨネの腕を揺すり、マツが自分と一緒に学校に行くようにと訴えます。

ヨネは武造を見て首を横に振り、マツは学校に行かないと言います。

武造は、何でマツが学校に行かせてもらえないのかが分からないので、ますます関衛門とヨネにマツも自分と一緒に学校に行くんだと訴えました。

武造は、自分の訴えが聞いてもらえないことが分かると怒り出しました!!そして、自分も学校に行かない作戦をとります。

ストライキです!!

これには関衛門とヨネも困りました。

困った二人は仕方なく、その日はマツに学校に行ってもいいと言います。

そのことを悟った武造は、喜んですぐに自分とマツの風呂敷を持って来ました。

武造とマツが学校に出かけた後、関衛門とヨネはため息をつき、ゆっくりお茶を飲みながら武造をどのようにして納得させるかを話し合いました。

そして、武造を納得させる方法を思いつきます!!

その話し合いについては次の記事に続きます。

ラベル:野菜 学校 行商
posted by junko at 10:31 | TrackBack(0) | 武造とマツの物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月01日

第28話 マツ、一人で行商に

翌朝になり、武造はマツと一緒に学校に行くために、マツの風呂敷を持ってきました。

マツも、今日は学校に行けると思っていました。

朝御飯を食べながらヨネが言います。

 ヨネ:{マツ、今日もオメーは学校に行かなくてもええからな、野菜を売ってくるんだ。}

 関衛門:{昨日は、オメーもちゃんと野菜を売れたではねーか、今日もご飯を食べて
      から畑に行って、野菜を採ってそれを売ってくるんだ、ええな。}


マツは、昨日の野菜の収穫と家々をまわって野菜を売ったことを考えて、またそれをしなければならないことを思ってがっかりしました。

武造もまた、マツが学校に行かないことが分かりがっかりします。

その日も、武造は仕方なしに一人で学校に出かけていきました。

関衛門とヨネ、そしてマツは畑にいきます。

今日も、収穫できるのがいっぱい生っています。

せっせと野菜を採って、そして家に戻ってきて野菜を売れるように洗います。

程よい量になると、ヨネがマツに行商に行ってくるように言います。

 ヨネ:{マツ、野菜を採ることはもうええから、オメーは野菜を売ってきてけろ!}

マツは、昨日と同じようにヨネと二人で行くものと思っていました。

でも、今日は違うようです。

ヨネは、マツの分だけを籠に野菜をいっぱい入れて背負わせました。

 ヨネ:{昨日したように、今日はオメー一人で野菜を売ってきてけろ!}

小学一年の小さなマツが、野菜をいっぱい入れた籠を背中に背負い、一人で行商にいくのです。

マツは悲しくなりました!!

マツがぐずぐずしていると、ヨネが怒りました。

 ヨネ:{マツ、何をボケっとつったてるんだ!!早く野菜売ってこい!}

マツは、自分に対してヨネが次第に厳しくなっていくのに気づきました。

マツは足取り重く、行商に向かいます。

やはり、見知らぬ人の家をまわって野菜を売るのは、すぐには慣れません。

気持ちよく野菜を買ってくれる人もいれば、

「野菜かー、いらねーだー」と言ってすぐに断る人もいます。

マツは、数件の家をまわってから、イヤになり帰ってきました。

マツが帰ってきたので、ヨネは随分早く売れたもんだと思いましたが、籠の中にまだいっぱい残っている野菜を見て怒りました。

 ヨネ:{まだ、野菜いっぱい残っているではねーか、なんで帰ってきたんだ、全部売っ
     てから帰って来い!!また、行って来い!}


野菜が全部売れるまで、帰ってきたらいけないとのヨネの言葉に、マツは悲しくなりましたが、仕方なくまた籠を背負いました。

野菜が全部売れて籠が空っぽになったときは、マツの足取りも軽くなりました。堂々と家に帰れるのです!!

マツは、明日は学校に行けると期待します。

マツが学校にいくことは、これからどうなるんでしょうか・・?
ラベル:行商 野菜 学校
posted by junko at 11:21 | TrackBack(0) | 武造とマツの物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。