「武造とマツの物語(新)」

【小説】 身体障害者に理解がない時代にマツは、幼少のとき親同士で決め

た「ろうあ者」との結婚のため養女にいく。偏見や逆境に遭いながらも前向きに生きていく。



2008年12月22日

第49話 軍事教練

昭和の時代になりました。

日本は軍国主義が強まっていたことで、武造とマツの住んでいた下井村においても、陸軍将校が来て「軍事教練」が行われることになりました。

戦争に備えて訓練を受けます。

関衛門は、武造も軍事教練にいく様に促しました。

武造は耳が聞こえないので、「軍事教練」のことがよくわかりませんでしたが、関衛門が参加するよう促すので行くことにします。

村の広場に行ってみると、大勢の人が集まっていました。

軍服を着た偉そうな人もいます。

下井村の村長は、武造を見かけます。

 村長:{武造、オメーも来たんかー!耳が聞こえんのによく来たなー、がんばれよ!}

村長は武造の肩を“ポン、ポン”と軽くたたいて励まします。

武造は、「軍事教練」に参加することで村の一番偉い人から褒められたので嬉しくなります。

武造は、皆の様子を見ながら自分も中に入ります。

下井村の村長が、りっぱな髭の将校に近づきます。

 村長:{今日は、ご苦労様です! 村の若者たちを集合させましたので訓練をよろしく
     お願いします!
     実はこの若者たちの中に、一人「ろうあ者」がいますのでご指導をよろしくお願
     いします!}


将校は耳が聞こえない「ろうあ者」が、皆と一緒には同じ行動はできないだろうと思います。

きっと、一人だけ乱れると思います!

いよいよ「軍事教練」が始まりました。

訓練が始まり皆で行進します。

“右向け右”“左向け左”“敬礼”などと支持にしたがって、皆がいっせいに動きます。

その訓練のとき、武造は皆の中にいて同じように動きます。

勘の良い武造は、驚くことにほんの少しの乱れもなく皆とぴったり合わせて動きました。

耳が聞こえないとは信じられないくらいです!

 陸軍将校:{本当にこの大勢の人の中に「ろうあ者」がいるのか?}と村長に聞きます。

 村長:{はい、確かにこの中に一人「ろうあ者」がいます}

村長は、大勢の若者の中に武造がいることを確かめます。

確かに、耳が聞こえない武造は、皆の中にいました!!

陸軍将校は、訓練中、誰がその「ろうあ者」なのかを、目を凝らしてみてましたが、皆が寸分たがわず動くので「ろうあ者」が誰なのか分りませんでした。

陸軍将校は村長に、誰が「ろうあ者」なのかを聞き、村長はそれが武造だと教えます。

陸軍将校は、武造に近づき本当に「ろうあ者」なのかを確かめました。

役人は、武造が本当に耳が聞こえなかったのでとても驚きました!

将校は武造の肩を“ポン、ポン”と軽くたたき褒めます。

 将校:{オメーは耳が聞こえんのに偉いなー}

武造は、偉そうな将校に褒められたのでまたも嬉しくなりました!

この陸軍将校の武造に対する感心が、武造とマツの結婚話に波乱を生じさせます。

posted by junko at 08:19| 武造とマツの物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月09日

第48話 マツの決心

関衛門とヨネは、武造にマツとの結婚について身振り手振りで話します。

武造にとってマツは、可愛い妹のようでしたので結婚相手といわれても“ピン”ときませんでした。

それでも、親が決めたことなので自分はマツと結婚するんだと思うようになります。

マツも、武造との結婚を前向きに考え始めていました。

それからは、武造とマツは互いを「結婚相手」としての特別な感情で見るようになりました。

関衛門とヨネは、二人の結婚式に向けて日時などの準備を始めることにしました。

そのことは、すぐに村人にも知られることになります。

行商で出かけていたマツに吾介が会います。

 吾介:{マツ、オメー本当に武造と結婚するんか?}

マツは、自分の心を決めていたので迷いもなくこたえました。

 マツ:{ほんだ、オラは武造と結婚することにしただー}

吾介は、耳が聞こえない武造と結婚しようとするマツの気持ちが理解できません。

 吾介:{オメー、親が決めたことだから仕方なく武造と結婚することにしただかー?}

 マツ:{そうではねー、初めは親が決めたことだからという気持ちもあったけど、今は
     そうではねー、自分で決めたことだー}


吾介はなおもマツにいいます。

 吾介:{オメー、耳の聞こえねーもんと結婚すると生涯苦労するぞ!この前の祭りの
     ときのことも知ってるべー、武造は村の人たちから受け入れてもらえてねーだ
     ー、ほんだから、そんな武造と結婚するとオメーも生涯、そんな目で見られる
     だー}


マツは、吾介の言うとおりに、初めは自分もそのことを心配に思っていました。

それでも、今まで兄のように慕っていた武造が、村人たちの偏見でがっかりしている様子を見て、自分が結婚してあげないと武造は誰とも結婚できない、と思ったので心を決めたのです。

 マツ:{オラ、武造と結婚することに決めただー!}

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その頃、日本は軍国主義が強まっていました。

「軍事教練」があり、そことがきっかけで武造とマツの結婚話に大きな波乱が起きます。   
        

posted by junko at 10:41| 武造とマツの物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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