「武造とマツの物語(新)」

【小説】 身体障害者に理解がない時代にマツは、幼少のとき親同士で決め

た「ろうあ者」との結婚のため養女にいく。偏見や逆境に遭いながらも前向きに生きていく。



2009年07月20日

第60話 結婚式二日目のおもてなし

結婚初夜の静まりかえった夜に、部屋の片隅にいるマツの目線には武造が気持ち良さそうに寝返りをうちながら眠っています・・


(結婚式に山に逃げたこの武造と・・これから夫婦としていくのか・・・まさか・・・武造がそんなことをするとは思わなかった・・・)


マツは養女としてこの家にやってきた時から、武造が自分をとても大事にしてきてくれたことを思い出します。

武造が自分の髪を嬉しそうに梳かしてくれたことや、着物を着せてくれたこと、いつも自分の味方になって大切にしてくれたこと・・・・

思い出せば武造がいつも自分の傍にいてくれたので、養女としてのつらい時も力づけられ乗りきることが出来たことなど・・・


(その武造がなぜ・・・・こんなに自分を傷つけたのか・・・あの手紙・・埼玉の女の人からの手紙がこなければ・・・やっぱり、結婚相手は普通の男の人が良かった・・・・)


いろんな思いが頭の中を駆け巡り、またもや悔しさと惨めな気持ちがマツの中で大きく膨らみ、眠気さえ生じず時間だけが過ぎていき、とうとう朝四時を迎えてしまいます。

花嫁にとって忙しい結婚式二日目です!

一睡もせずにずっと泣き続けていたマツは、まぶたが大きく腫れていました。

寝ていないのと気持ちが沈んでいたことで、マツの体には活気がなく呆然と部屋の隅に座っていました。

朝四時、マツを呼ぶヨネの声が聞こえると、マツは泣きはらした目を押さえながら襖を開けます。

まぶたが腫れたマツの顔には全く活気がありません・・・


(寝てないな・・・)とヨネはすぐに気づきますが、結婚式二日目でお餅をつかなければなりません。

{マツ、今日は村中の各家から女の人が来て、結婚したオメーたちを祝ってくれるだー、ほんで、おもてなしの餅をつくらねばならねーだ}

だるくなった体を引きずってマツはヨネの後をついていきます。

外はまだ暗く夜明け前のひんやりした空気がまぶたを腫らし熱ったマツの顔をやさしく冷やしてあげるかのようでした。


マツの実の両親と親せきの男の人も餅を作る手伝いに関衛門の家にやってきました。

もち米の量もたくさんです!!

もち米は、前日にマツの実の親や親せきの人たちで、研いでたっぷりの水につけてありました。

そのもち米を、ざるにとり水切りをして蒸し器に入れます。


もち米が蒸しあがってくると美味しい匂いがしてきます。

その頃になると、外も明るくなりはじめ太陽の陽でマツの体にも力が湧いてきます。


外では、餅をつく男の人たちが、もち米が蒸しあがるのを待っています。


蒸しあがったもち米で、杵つき餅です!!

杵でつかれた餅はよく伸びます!!

餡子餅、納豆餅、お雑煮、ずんだ餅を作ります。

餅が大好きなマツは、せっせと作っていきます。


餅がある程度出来たころ、武造が起きてきました。

その武造を見たマツは、普通には接することができず武造の顔を見ようとしません。

つきたての餅で朝ごはんを済ませ、すぐに餅作りを始めます。

村の女の人たちが、次から次へと関衛門の家にやってきました!!

夫婦となった武造とマツに祝福の声をかけます。

家の中が、女の人たちでいっぱいになりました!!

マツは、つきたてのお餅をそれぞれに配りおもてなしをします。

昨日の式での出来事のことで、マツのことを気の毒に思っている様子を見せる人や、武造とマツを興味津々で見る人、様々でした・・。

そんな村の女の人の様子を感じ取ったマツは、またもや惨めな気持ちになりました・・・


その二日目も終わり、また夜がやってきました!

前日寝ていないのと、一日おもてなしで忙しかったのとで疲れきっていたマツでしたが、武造を受け入れる気になりませんでした・・


武造は、マツと結婚したことを受け入れたのか・・・マツをじっと見ています・・・



ラベル:結婚式 もちつき
posted by junko at 16:38| 武造とマツの物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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