「武造とマツの物語(新)」

【小説】 身体障害者に理解がない時代にマツは、幼少のとき親同士で決め

た「ろうあ者」との結婚のため養女にいく。偏見や逆境に遭いながらも前向きに生きていく。



2009年09月19日

第61話 結婚式三日目

{オラを見るでねぇー}

結婚式に花婿に山に逃げられてからマツの内では、混沌とした状態が続いていました・・。

武造が、じっと自分を見ているのにも怒りを感じ、並べてあった布団を大きく引き離し、武造が近づかないようににらみます。

前日寝てないのと結婚式のもてなしのために疲れていたマツの体は、ズッシリと重い荷がのしかかっているかのようでした・・。

あまりの疲れで布団に入り横になったマツでしたが、また翌朝四時に起きて結婚式三日目のおもてなしのために餅を作らなければならないことで、マツは自分の人生を嘆きます・・・


・・・養女として気を使いながら暮らしてきて、親同士が決めた武造との結婚もようやく納得し、耳が聞こえないろうあ者と夫婦になることを決意した自分・・・

なのに・・・なぜ・・・武造は自分を決して嫌っていない・・・・・・なのに・・・逃げた・・・・

きっと村の人たちには自分が哀れに映っているだろう・・・うわさになっているに違いない・・・

花婿に逃げられて花婿代理で式を挙げた花嫁・・・・あぁー・・こんなことって・・・・

なのに・・また明日、村中のお年寄りのおもてなしをしなければならない・・・


ズッシリ重くなり眠りを要求している体のマツに神経だけが目覚めたかのように様々な思いが浮かんでは消えてゆき・・夜の静寂な空間の中で、自分の考えだけがざわめいているかのようでした・・。

そうしているうちに、一時の間、深い眠りがマツを襲い、気が付いたらヨネの声が聞こえます。

朝四時は、たちまちきてしまいました。

疲れてる体を起こし、結婚式三日目のお餅を作ります。


下井村では、結婚式三日目として村中の各家から、お年寄りが集まり結婚した二人を祝福します。


続々と村中のお年寄りが集まり、家の中はお年寄りでいっぱいになりました。


マツはお餅をそれぞれに配りおもてなしをします。


お年寄りはマツを気の毒に思い、慰めたり励ましたりしてくれます。

{マツ、つらかったべー・・よく耐えたなー、えらいなー}


一方、武造には厳しく、怒る年寄りもいます。

{武造、オメェー式ではひでぇーことしたもんだなー、人生の大事な時になんてーことしただー}

{武造、オメェーはマツに一生負い目があるどー}


耳の聞こえない武造は、お年寄りが自分をしきりに怒っていることをヒシヒシと感じます・・

チラチラとマツを見ますが、マツは自分を見ようとしません・・・


新婚の二人がぎくしゃくした中、結婚式三日目も終わりました・・・

つらい中、花嫁としてしっかり下井村の習慣どおり結婚式三日間を終えたマツでした・・・

{マツ、疲れたベー、オメェーたちももう寝ろ、明日も早いどー、四時に山に行くからな!}とヨネ。

posted by junko at 16:59| 武造とマツの物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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