「武造とマツの物語(新)」

【小説】 身体障害者に理解がない時代にマツは、幼少のとき親同士で決め

た「ろうあ者」との結婚のため養女にいく。偏見や逆境に遭いながらも前向きに生きていく。



2009年12月21日

第62話 実家に帰りたい!

{はよー寝ろ}とヨネに言われて、マツは疲れて重くなった体を引きずり・・・自分たちの部屋に向かいます・・

その後を武造がマツの顔色をうかがいながらついていきます・・

自分を見ようとしないマツ・・・自分への怒りが相当なものであることをひしひしと感じながら・・

部屋の入り口で立ち止り・・ハァーと深いため息をつくマツ・・

(実家に帰りたい・・こんな気持ちのまま武造と夫婦になってしまうんか・・・オラの人生は何なんだ・・・)

部屋の入り口で立ち止まったまま動こうとしないマツを武造はただじっと見ています。

(実家に帰りたい!)という思いがマツのうちで強くなり後ろを振り返ります。

突然に後ろを振り返ったマツにびっくりした武造は、慌ててうつむき・・そして上目でちらちらとマツを見ます・・

そんな武造を見てまたもやため息をついたマツは武造のそばを通り過ぎ玄関にゆっくり歩き始めました。

じっとマツを見ている武造・・・

玄関で音がした時、ヨネがマツの気持ちを感じ取って出てきました。

{マツ、こんな夜に何処さ行くだかー?明日も四時に起きて山に馬の餌をとりにいくべー、さぁー、部屋に帰って早く寝ろ!}

動こうとしないマツ・・・

{マツ、オメーの気持ちはよー分かるだー、武造のしたことがオメーの中で許せねーんだべー・・・けど、オメーはもう武造の嫁になっただー、そしてこの家を継ぐことになっただー}

関衛門も部屋から出てきて、マツの表情がすっかり沈んでいるのを見てとり・・

{マツ、武造を許してやってくれねーか・・あれがしたことは親のオラたちにも責任があるだー、このとおり、申し訳ねーだー}と頭を下げる関衛門。

それを見て、ヨネも{申し訳なかったずー}とマツに頭を下げます。

関衛門とヨネが自分に武造のことで謝ったのでマツは戸惑います・・

二人をじっと見て立ちすくんでいるマツ。

{来てけろ!}と関衛門がマツを武造のところに連れて行きます。

離れたところでじっと見ていた武造のところに来ると、関衛門は武造にマツに謝るようにうながします。

武造を見る強い視線の関衛門。

武造は、マツに視線をずらすと・・頭を下げます。

{このとおり武造も謝ってるだー、許してやってくれねーか・・}

マツの実家に帰る勢いは弱まり、{今日はもう寝るだー}・・・そう言ってマツは自分の部屋に入って行きました。

{オメーも入って寝ろ!}と武造に言う関衛門。

武造も自分たちの部屋に入ると、そっと部屋の襖を閉めるヨネ・・。


ラベル:実家
posted by junko at 17:16| Comment(0) | 武造とマツの物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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