「武造とマツの物語(新)」

【小説】 身体障害者に理解がない時代にマツは、幼少のとき親同士で決め

た「ろうあ者」との結婚のため養女にいく。偏見や逆境に遭いながらも前向きに生きていく。



2010年01月29日

第64話 馬の餌

{武造、マツ、四時になったから起きて山に行ってけろ!}

ヨネの声で体を起こしたマツ。

(体がだるい・・・)

{武造と二人で山に行って馬の餌を取りにいってけろ}そう言ってヨネは、自分たちも畑仕事に行く準備を始めます。

まだ日が昇る前の時間、武造とマツは山に行く準備を済ませ出かけていきました。

武造が馬の手綱を引き、無言のまま二人で山に向かい・・・

夜明けの陽が二人の歩く道を照らしはじめます。

馬が好む青草があると立ち止り、その草を刈っていきます。

マツは中腰になったりして草を刈っていきながら・・自分の内に力がなくなっていくのを感じていきました・・・

{だるい・・体のあちこちが痛い・・・・}


マツが気が付いた時には、布団に寝かされていました。

「マツは、山で馬の餌を取りながら高熱を出し意識を失い、武造がマツを馬に乗せ家に帰り、マツの額に冷たいタオルを置いて看病していました」


マツにずっとついて熱を下げるために懸命に夜昼看病する武造。

ヨネが自分が代わると言っても、武造は自分がマツの看病をするといい、マツの側から離れようとしませんでした。


往診で診てくれた医者は、{疲れがたまって風邪をひいたんでしょう!}と。


マツの熱は三日ほど下がりませんでした。


高熱を出してから四日目の朝方に、マツの高熱も峠を越し・・熱が下がりはじめました。

マツの熱が下がり一安心し、ヨネがマツに聞きます・・

{マツ、何か食いてーものはねーか・・?}

マツは小さな声で・・{サバ缶を・・食いてーだ・・}

ラベル:馬の餌
posted by junko at 11:17| Comment(0) | 武造とマツの物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月26日

第63話 マツの涙

{体がだるい・・疲れただー・・}

薄暗い部屋の中に敷かれた布団の上に、あまりの疲れで力なく座ったマツ・・ 

呆然として、そのまま動かないマツ・・・・

立ったままで・・じっとマツを見つめる武造・・。

これまで見たことのない・・・失意で打ちのめされたようなマツの表情・・・


武造にとってマツは、妹のように可愛く大事に思ってきた・・・・その

マツを自分がどれほどつらい目にあわせてしまったのか・・・・・

武造は自分の愚かさに気が付き、なんとかマツをなだめようと思います・・・

少しずつマツに近づき、マツのそばで腰をおろします・・


言葉を言い表すことが出来ず、話が出来ない武造は、そっとマツの手に触れます・・


ただ一点を見たまま動かず、武造を見ようとしないマツ・・


武造は、マツの手の上に自分の手を置き・・頭を下げ・・・しばらくの間・・そのままの状態が続きます・・・


マツは、武造の気持ちを感じ取り・・自然と涙が出てきました・・・

自分は、決して武造が嫌いではない・・・・けど・・なかなか自分の気持ちを処理出来ない・・・

自分の手の上にある武造の手を見ながら、涙がとまらず・・武造の手の上にマツの涙がポタポタと落ち・・・

小さな肩を振るわせ涙を流し続けるマツを武造は、自分の胸にマツの頭を優しく抱え込みました。

そして、そのまま時間が過ぎ・・マツも少し落ち着いてきて布団に横になります。

マツの気持ちを考えたのか・・武造はマツの布団に入ろうとはしませんでした・・。

並べてある自分の布団に入り・・ただ、マツの手を握っていました・・・・


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posted by junko at 17:22| Comment(0) | 武造とマツの物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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