「武造とマツの物語(新)」

【小説】 身体障害者に理解がない時代にマツは、幼少のとき親同士で決め

た「ろうあ者」との結婚のため養女にいく。偏見や逆境に遭いながらも前向きに生きていく。



2011年08月27日

逃げた花婿 第94回

花婿が代役で三三九度が行われ、マツは“ぐっ”涙をこらえていた・・

花婿の武造を探しにいった村人たちは、駅や村中、また山へと手分けをして探しに行った。

駅にはいない・・

武造はなかなか見つからず、あたりも薄暗くなってきた・・・

「おーい、武造!」

山に探しに行った村人たちは、どんどん山の上に登りながら武造の名前を呼び続けた。

「武造は耳きんかだから呼んでも聞こえねーではねーか!!」

「耳が聞こえねー人をこんな山ん中で見つけるのはたいへんだずー」

「おーい、耳きんかー、何処にいるー!?」

「おーい、耳きんかー」

などと言いながら探した・・

村人たちが、耳が聞こえない武造をそのように呼ぶのをある村人がとがめた。

「今日は、武造の結婚式ではねーかー、耳きんかと言ってはならねーだー、耳が聞こえなくたって、そんな呼び方をしてはいけねーだー!」

それに対して村人たちは言った
「耳が聞こえねー1人息子といって、関衛門たちが甘やかして育てたから結婚式にいなくなるという・・こんな・・わがままな人間になるんだ・・」

「んだ、これではマツがあまりにも可愛そうではねーかー、だいたい、武造とマツはいいなずけとはいえ、武造にマツはもったいねーと思っていたんだ」

「んだー、オラもそう思っていたんだ、武造は昔から体が弱かったから、この歳になるまで生きるとは思わなかっただー、マツはオラの息子の嫁に欲しかったんだ」

「オメーもそう思ってたんだかー!!オラもそう思ってたんだー」 


「オメーたちは、武造が早くに死ぬのを望んでいたんだかー?」

「んだ、今だから言えるけど・・・だけど・・今となっては・・結婚式まできてしまった・・式も花婿は代役でしているだー・・」

・・・・・・・・・

「早く、武造を見つけねーとすっかり暗くなるど!」

探していた村人たちは焦り始めた・・

ハーハーと息切れしながら村人たちは、山の上に登っていった・・

そして、山の頂上に登り着いたころ・・・


「あっ!!あそこに座ってるのは・・武造ではねーかー!!」

「んだ、暗くて見えにくいが姿は確かに武造だー!!何か見てるんではねーか?」


武造は花婿姿のまま山の頂上に座っていて、埼玉の女性からの手紙を「じっ」と見ていた・・・


暗くなってきて武造も周りを見回すと・・・・

大勢の村人たちが息を切らしながら自分のところに向かってくるのが見えた。

武造は、手紙を大事そうに懐に入れた。

「武造!やっと見つけたぞ!今、懐に入れたのは何だずー?」

村人はそう言って、武造の懐に手を入れて取ろうとしたが、武造はすばやく身をかわし逃げようとした!!


「武造!逃がさねーど!!」

村人たちが四方から武造を囲み、とうとう武造は村人たちにつかまって山を下りることになった。

山を下った時には、あたりは真っ暗になっていた!!


一方、結婚式を行っていた家の中では、式も終り、皆で食べたり飲んだり、歌ったりと賑やかだった!!

そこへ花婿姿のまま山に逃げていた武造が村人に引っ張られて連れてこられた。


マツは、一瞬、武造を見ますが、悔しさと怒り・・そして惨めな気持ちで、ずっと下を向いたまま顔を上にあげない・・・


戻ってきた武造を村人たちは、手ぶり身ぶりで怒り始め、関衛門とヨネも怒った!

皆から怒られている武造・・


波乱の結婚式の日は、夜中の12時まで飲み会が続いた・・・


・・・・・・・・・

(武造、なんで逃げた・・?)

村人たちが皆帰って家族だけになった時、マツの気持ちは限界まできていた・・・
ラベル:逃げた 花婿
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2011年08月24日

花婿代役の波乱の結婚式 第93回

「まさか・・逃げたんではねーべか・・?」

「んだけど、どこさ逃げたんだべ?まさか、埼玉に・・?」

関衛門とヨネは、焦った・・

三三九度のときになって、花婿の席からいなくなった武造。

村人たちが騒ぎはじめた・・

「武造はどうしたんだべ・・?」

「んだ、武造はどこさ行ったんだべ・・?三三九度に花婿がいねーと出来ねーではねーか・・」

「関衛門、武造がどうしたか心当たりはねーかー?」


関衛門は、武造がこの結婚式に乗り気ではなく、埼玉の女性に心が向いてたことを思い・・

「武造はもしかすると、どこかに行ったかもしれねー・・・オラ、駅に行ってみっから。」

村人が言った
「駅に・・? 関衛門、オメーは花婿の親として結婚式の場から離れてはならねーんだ」 

他の村人も言った
「んだ、それに武造は駅に行って、一人で汽車に乗れるんだかー?」

関衛門がこたえて言った
「武造は一人で汽車に乗ったことねーだー、でも、もしかしたら・・・・」

村人たちは言った
「どうするべか?今、武造が戻ってこねーと・・・結婚式は中止だべか・・」

「いや、それは出来ねーだ! 昔から村あげての結婚式を中止することはあってはならねーことだー・・」

「んだけど、どうするず・・・花婿がいねーと結婚式は続けられねーではないか・・」

花嫁のマツは、そんなやり取りを見てて武造に対して怒りを感じた・・

(武造・・逃げた?)

今すぐにでも、花嫁衣装を脱ぎ棄てたかった・・・・

それでもマツは、自分をじっと抑えた・・・


気持ちを乱されて暗い表情のマツを見て関衛門が言った
「結婚式は中止にするず」

村人がそれに対して言った
「結婚式を中止には出来ねー、上長井村では、式を中止にすることは昔から許されねーことだ。」

「だったら、どうすっべーずー!!?」と他の村人が言った。


関衛門が言った
「とにかく武造を探しださないといけねー、何人かで武造を探してきてくれねーか?」

村人たちは言った
「時間がねーだ、探しにいく人の人数は多い方がいいではねーか?」

「んだ、半分は探しにいったほうがいいべー」 

「式はどうすっべか?誰か、武造の代わりになってくれねーかー?」

それを聞いた関衛門は焦った!
「武造の代わり?そんなこと出来ねーではねーか!!」

それに対して村人が言った
「もう、時間がねーんだ!式を中止することもできねー、誰かが武造の代わりをするしかねーんだ」

それを聞いた村人たちは、一斉に言った
「んだんだ、もう、そうするしかねー!誰かが花婿の代役をするしかねーず」

関衛門とヨネは焦り・・
「花婿・・武造の代わりで式を挙げるなんて、そんなことはいけねーず!」

しかし、村人たちには勢いがあった・・

村人たちが言った
「関衛門、オメーはよそ者だから上長井村のしきたりをよく知らねーんだ、式を中止なんて許されねー、誰かが代役をするんだ。誰でもええから、花婿の代わりを務めてくれねーか?」

村人たちは、互いを見合った・・・

ある村人が、自分の傍にいた村人に向かって言った
「オメー、花婿の代役をしてけろ!」

花婿の代役をと言われた村人が驚いて言った
「オラが・・?オラは結婚して妻も子もいるではねーか!」

「分かってるず、ただ代役をするだけだ、早く、花婿の席に座ってけろ!」

周りの村人たちも口をそろえて言った
「早く、花婿の席に座ってけろ!花婿は代役でいくず。」

「では、花婿代役で式はこのまま続けてするべー、人数は・・・そうだなー・・半分は、このまま式を続けて、後の半分は武造を探しに行こうではねーか!」


そのようにして、結婚式は花婿の代役で続けることになった!!

式に集まっていた人数の半分は、そのまま式に出て、あとの半分は武造を探しに出かけた!!


村人が言った
「では、三三九度から代役でいくずー」

(武造の代わりに他の人が・・?)

マツは、事の成り行きが信じられなかった・・

(武造、なんで逃げた?)

武造に対して怒りがこみ上げ・・同時に、惨めな気持ちでいっぱいになった・・・


そして、とうとう、花婿は代役で三三九度が行われた!

怒りと惨めな気持ちで泣き出したいのを“ぐっ”と堪えるマツ・・




posted by junko at 15:23| Comment(0) | 新・武造とマツの物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月22日

上長井村の結婚式のしきたり 第92回

武造とマツの結婚式の日がやってきた・・

子の結婚は親が決めるという上長井村の習慣どうりに武造もマツも、自分たちの結婚式の日を迎えた。

その日の早朝、武造は関衛門に埼玉からの女性からの手紙を見せて、自分はこの人と結婚すると訴えた。

関衛門はそれには何も応じず、結婚式の準備はしっかり出来ていることを確認し、大事な一人息子の結婚式に早朝から慌ただしくしていた。

ヨネは武造に花婿の支度をさせ、マツの花嫁支度も実の母親や親せきの人たちでしていった。

マツは自分に着せられた花嫁の衣裳を見ながら思った

(オラやっぱり武造と結婚するんだ・・)


上長井村の人たちが関衛門の家に次から次へとやってきた!!

来る人来る人、皆、男の人だけ・・・・

※当時の上長井村では、結婚式の一日目は、村の各家から男の人が一人代表で結婚式に出席するのが習わしだった。

家の中が、村中の男の人でいっぱいになった。


(男ん人ばかりだず・・)

結婚は、普通の健康な男性と・・と思っていたマツ。

埼玉の女性の手紙を肌身離さず持ち歩き、それを眺めては“ぽ〜”とする武造の姿をみて不愉快に思っていたマツ。

気持ちが浮かないまま結婚式が始まった。


上長井村のしきたりどおりに、花嫁の親せきの男の人が花嫁のマツをおぶった(おんぶ)

花嫁をおぶって、花嫁が嫁ぐ家の玄関から家の中に入る。

(このしきたりは、花嫁がこの家に入り、この家から出ない、この家に生涯尽くすことを意味していた)

それから次のしきたりとして、花嫁が親せきのおばさんに付き添われて、隣近所を一軒ずつ挨拶回りをする。

マツは言われたとうりに、一軒ずつ挨拶していった。

挨拶回りが終わり、家の中で式が行われ『三三九度』が執り行われるときになった!

その三三九度の時になり、武造がいつのまにかその場からいなくなっていた!

「武造はどこさ行ったんだべ?」

村人がざわついてきた・・

すぐに、花婿の席に戻ってくると思って待っていたが、武造は花婿の席に戻ってこない・・

「武造は、家の中にも外にもいねーぞ!どこさ行ったんだべ?」

「まさか・・・逃げたんではねーべか・・・?」

関衛門とヨネが焦り始めた・・・
posted by junko at 14:12| Comment(0) | 新・武造とマツの物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月20日

結婚式は一週間後に・・でも結婚は普通の男性と。第91回

相変わらず武造は、埼玉の女性からの手紙を肌身離さずに持ち歩き、それを眺めては“ぽ〜”としていた。

すっかりのぼせてる武造は、埼玉の女性からの手紙を見ているところをマツに見られてることも気づかなかった。

マツは、そんな武造を見るたびに不愉快でたまらなかった。

(武造・・何故、手紙を捨てないんだべ・・オラと結婚する気はねーんだべか・・)

マツの気持ちも揺らいできた・・・


埼玉の女性との結婚にあこがれている武造。

「天皇陛下のそばから嫁をもらえる!!」

武造は、指一本(人差し指)を額の真中にあてて、その指を東京の方に向けた。


天皇陛下を神様のように思っている武造は、天皇陛下の近くに住んでいるその女性と結婚したいと思っていた。

武造は、まったくマツの気持ちを考えていなかった・・・

しかし、武造はマツを嫌いではなかった、可愛い妹のように大事に思っていた。

結婚式がいよいよ一週間後にせまったとき、ヨネが二人の結婚式のことについて話にきた。
「オメーたちの結婚式の準備はできてるからな、昔からのしきたりで村をあげての式だ、マツ、オメーは武造の嫁になってこの家を継ぐんだ。」

マツは、武造に目をやった・・・やはり“ぽ〜”としている・・。

(武造は、オラとの結婚は考えてねーんだ・・・埼玉のおなごん人に気をとられてるだ・・)

マツは悲しくなる半面、また別の思いが浮上してきた・・・

(やはり、結婚は普通の男ん人と・・・)

“ぽ〜”としている武造を見てすぐにでも家を飛び出して実家に戻りたい気持ちに駆られた。

(武造は、そのおなごん人と結婚したらえぇーんだ、いっそのこと、お父とお母の気持ちが変わって埼玉のおなごん人との結婚に話を進めたらえぇのに・・・)

マツはそう思った・・・

武造の人柄に魅かれてたマツだったが、武造の様子を見て自分の気持ちをうまく調整出来ないでいた・・・

悩んだマツは・・実の親のところに相談に行った。
「オラ、武造と結婚はしたくねーだー」

マツの実の母親(ハル)は、マツの気持ちが揺らいでいることを知り何があったか聞いた
「オメーは武造と結婚することを決めたんではなかったか?・・結婚式の準備も進んでいるではねーか・・今になってどうしただー・?」

マツが言った
「オラ、やっぱり普通の男性と結婚したいだー・・」

結婚式を目前にして気持ちが揺らいでいるマツを見てハルは戸惑った。

マツの実の親たちが、関衛門の家にマツを養女に出したのは一人っ子の耳が聞こえない武造とマツを結婚させて、関衛門の家系を存続させること!それが目的だった。

親としては、可愛い娘を養女に出して自分のもとから離れるというのはつらいことだったが、当時は家族が食べていくのも大変な時代、関衛門たちがマツを養女にもらい、マツには腹いっぱいご飯を食べさせてあげる!ということで合意したのだった。

今になって、マツが結婚を普通の男性と!と言ってもそうするわけにはいかない・・・。

ハルが言った
「マツ、オメーと武造は「いいなずけ」ではねーかー、武造が嫌いになっただかー?」

マツがこたえて言った
「武造は嫌いではねーだ・・・んだけど武造は他のおなごん人に気を取られてるだー・・・」

マツは武造が埼玉の女性からの手紙を肌身離さずに持っていることや、武造が汽車でその女性に会いに行こうとしたことなどを話し始めた。

事情を知ったハルは、武造に怒りを感じた。

ハルが言った
「武造はそのおなごん人からのプロポーズにのぼせてるだけではねーかー?それに、そのおなごん人と一度も会ったこともねーことだし、そのおなごん人だって本気かどうかさえ分からねーではねーか、武造はその人と結婚できねーだー」

そして、マツに武造以外の男性との結婚はできないことを言った。

マツは納得できないまま自分の家に帰って行った。


夕食の時間になり、薪で炊いた香ばしいご飯の匂いがすると、武造はご飯だと分かり埼玉の女性からの手紙を大事そうに懐に入れて台所にやってきた。

マツを見た・・

すっかり気持ちが揺らいでいるマツは、いつものようには武造と接することができなかった・・うつむき武造を見ようとはしない・・

武造はご飯をたべながらマツを見ますが、マツはうつむいたままで食もすすまない・・

マツにご飯を食べるように促す武造。

そのような気遣いがマツにとって逆に感情を乱した・・。

(オラのことにかまわないでけろ!)

マツはご飯を食べないでさっさと出ていった。

ようやくマツが変だ!と思った武造は、自分もご飯をさっさとすませてからマツのところにいった。

体の具合でも悪いのか・・?と身ぶり手ぶりでマツに聞く武造。

うつむいたままのマツ・・。

埼玉の女性にすっかり気を取られてる武造は、マツの気持ちにうとくなっていた!

マツは武造を避けるようにその場を離れた。

そんなマツを見ても武造は、また手紙を取り出し、眺めては“ぽ〜”とする・・。


二人の様子を見て心配になった関衛門は、武造に手紙を自分に渡すように言った。
「オメーは、一週間後にマツと結婚するんだ!」

しかし、武造は手紙を離さない!

そして、指一本(人差し指)を額の真中にあてて、その指を東京の方に向けた。

自分は、この女性と結婚する!と訴えた。

関衛門が武造に言った
「ダメだ!」

納得しない武造。

関衛門は、武造が納得しなくてもマツと結婚させることを変えることはしない!


一週間後に迫る結婚式にマツの心は焦りを感じた・・
(武造と結婚したくない!結婚は普通の男ん人がえぇ)

そう言いたくても声にだして言えない・・マツはヨネが怖かった・・・

武造は、天皇陛下の近くにいる女性と結婚したい!!

一方、マツは、健康な普通の男の人と結婚したい!!

そんな気持ちのまま・・・

とうとう村をあげての結婚式!!その日がやってきた・・

ラベル:結婚式 手紙
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2011年08月19日

結婚相手は天使のよう?第90回

(武造は、埼玉のおなごん人(女の人)と結婚したいと思っているんではねーべか・・)

マツも武造の気持ちが分からなくなった・・。

(武造は、自分が結婚してあげないと誰とも結婚できないと思って、オラは結婚を決意したんだ・・それなのに、武造は・・・)

マツは、武造の気持ちが幾らか自分から離れたように思った・・・淋しく感じる半面、怒りのようなものもこみ上げてきた・・

その怒りにも似た気持ちは、武造に対してと言うよりは、自分に対してだった・・

(オラは傲慢だった・・・オラは自分が結婚してあげなければ武造は、誰とも結婚できない・・と思った・・・そんな気持ちは傲慢だ・・)

マツはこれまでの武造との思い出を思い出していった・・。

(武造は、耳が聞こえねーだけで、人と何の変わりもねー・・それどころか、武造は人がいい・・
武造は純真でまっすぐな人だ・・オラが養女に来てからもずっと側にいてくれた・・・だからオラは、養女として今までやってこれたんだ・・)

ここにきてマツは初めて、武造への自分の気持ちがはっきり分かった・・

(オラ、武造の人柄を好いている・・)


一方、関衛門とヨネは武造とマツの結婚式を予定どおりに行うように準備をしていった。

相変わらず、手紙を肌身離さずに持ち歩く武造。

関衛門は、武造の気持ちをマツとの結婚に向けようとした
「オメーは、マツと結婚するんだべ、その手紙の人のことに思いを向けたらいけねー。」

ところが、武造は指一本(人差し指)を、額の真中にあてて、その指を東京の方に向けた。

武造のその身振りは、「天皇陛下」を意味していた。

(武造にとって、東京にいる「天皇陛下」は、一番位が高く神様のような存在だった。)

そして、大事に持っている手紙を見せて、また、指一本(人差し指)を、額の真中にあてて、その指を東京の方に向けた。

武造は、埼玉は「天皇陛下」の側で、そこからこの手紙が来たと言っている。


武造からしたら埼玉のその女性は、神様のように思っている「天皇陛下」のそばに住んでいる天使のように思えたのかも知れない・・・。

そのような人と結婚できたら・・・

もしかしたら、武造はそれによって自分が偉くなるように感じたのかもしれない。

武造は、これまで村人たちからの偏見でつらい思いをしていた。それで、その女性と結婚することによって、村人たちを見返してやりたい!という思いもあったのかもしれない。

また、自分は耳が聞こえないけど、「天皇陛下」のそばから妻をめとったということで、村人からの敬意を得たいと思ったのかもしれない。


武造は、再びその手紙を見ながら、指一本(人差し指)を額にあてて、その指を東京の方に向けた。

武造の気持ちはなかなか冷めなかった・・・。

ラベル:結婚相手 天使
posted by junko at 11:43| Comment(0) | 新・武造とマツの物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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