「武造とマツの物語(新)」

【小説】 身体障害者に理解がない時代にマツは、幼少のとき親同士で決め

た「ろうあ者」との結婚のため養女にいく。偏見や逆境に遭いながらも前向きに生きていく。



2011年11月09日

お詫び 第111回

盗まれた欄間を取り返した武造とマツに関衛門とヨネは驚いた!

関衛門がマツに聞いた
「小吉からどのようにして欄間を返してもらったんだ?」

マツがこたえて言った
「武造は、小吉に『罰あたり』なことをしたらいけねー、神様はどんなことでもちゃんと見ているんだということを作り話の夢で訴えたんだ、そしたら小吉は自分から欄間を返す気持ちになって返してくれたんだ」

マツは欄間を取り戻せたのは、武造が機転を利かせたからだと話した。

それから残念そうに言った
「でも、襖と障子は誰の仕業かを小吉は言わねかった・・」

関衛門がこたえて言った
「せめて、欄間だけは取り返したかったから、その欄間が戻ってきて有難てー!!襖と障子のことは、もうえぇーだ」

関衛門は、武造とマツが欄間を平和裏に取り返したことが嬉しそうだった。


それから、三日経った晩のこと、

小吉が周りを気にしながら“こそっ”と尋ねてきた。

酒を小脇に抱えていた。

小吉は土下座をしながら言った
「関衛門、すまねかった・・・この酒はお詫びだ・・」

そう言って何度も額を畳に着けた。


関衛門が小吉に言った
「欄間をよー返してくれた!ありがとうな」

関衛門は一言も小吉を責めるようなことは言わなかった。


ヨネが温かいお茶と漬物を出し、
「小吉、外は寒かったべー、温まって、ゆっくりしていってけろ!」

そう言って優しく微笑んだ。


ヨネも小吉が自分から欄間を盗んだことを白状し、そしてお詫びにきたことが嬉しかった。

すでに、関衛門の家族は、誰もが小吉のことを悪く思っていなかった。


関衛門が小吉に言った
「オメーは正直な行動をしたから、もう罰が当たることはねー、神様はオメーのその真っすぐな心も見てくれてるだ」

そう言って小吉を安心させた。


囲炉裏の火が小吉の冷えていた体を温め、こわばっていた顔も和らげてくれた。

囲炉裏の火を見つめていた小吉は、緊張が取れたのか・・

襖や障子に関しても話しだした・・

「実はオラ、襖と障子の事も知ってるんだ・・」

小吉は吾一や庄助のことを話し始めた。

・・・・

関衛門が言った
「教えてくれてありがとうな!けど、そのことはオメーから聞いたということは誰にも言わねーだ!安心してけろ!」

関衛門は、小吉が後でその2人に責められるという不安を感じないようにさせた。


囲炉裏の火と温かいお茶で、すっかり温まった小吉は、すっきりした顔をしていた。

「漬物を少し持って帰ってけろ!」とヨネが渡した。


小吉の帰る時の顔は晴れ晴れとしていた。


関衛門は小吉の後ろ姿を見ながら言った
「人は、自分の気持ちに責められるようなことをしてはいけねー、心にやましいことがあれば、その顔にもなんとなく影が出るもんだ、けど、今の小吉の顔は晴れ晴れとさっぱりしているだ」

マツが関衛門に聞いた
「襖と障子はどうするだかー?」

関衛門がこたえて言った
「犯人が分かっただけでも良かった、けど、取り返すことはしねーだ」

関衛門は、この事件はここで終わらせることにした。

関衛門が続けてマツに言った
「マツ、もう三月になる、引っ越しの時期だ、オメーは腹ん中に赤ん坊がおるから重いものを持ったらいけねー、けっして、無理するでねーど。」

関衛門は、常にマツを気遣っていた。

マツは初めての引っ越しに興味津津だった・・・。

(引っ越し・・・大きな家をここまで引いてくるって、どんなもんだろう・・?)


ラベル:お詫び
posted by junko at 15:36| Comment(0) | 新・武造とマツの物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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