「武造とマツの物語(新)」

【小説】 身体障害者に理解がない時代にマツは、幼少のとき親同士で決め

た「ろうあ者」との結婚のため養女にいく。偏見や逆境に遭いながらも前向きに生きていく。



2011年11月22日

手ごわい反対者!第117回

新しい家は、目的地まで約200mのところまで来ていた。

(あと少しで家は目的地に着くど!)

マツは、新しい家での生活を期待する一方で、吾一の田んぼを通らなければならないことへの不安が思いをよぎった・・・。

吾一の田んぼを目前にして、やはり予想通りのことが起きた・・

「オラの田んぼの上を通るな!」

吾一が断固として通さない・・

関衛門が吾一に言った
「すまねーな・・オメーの田んぼをどうしても通らないと目的地までいけねーだ・・」

そう言って関衛門は、吾一に通行料として酒とお金を渡そうとした。

ところが、

「オラは、そんなものでは通さねー」と吾一は受け取らない。


(やっぱり・・・吾一は簡単には通してくれねーな・・)マツの心配が的中する。

曳き家の棟梁が事態を心配そうにして言った
「人の田んぼのことだから、このことにはオラは口出しできねー・・」


次の日、その次の日・・何度も、関衛門とヨネは、吾一に頭を下げ、通してくれるようお願いする・・。


吾一が偏見をあらわにして言った
「頭を下げったって通さねーものは通さねー、よそ者がオラの田んぼの上を通ることは出来ねーだ。」

武造も、田んぼの上を通してもらえるよう頼むため、吾一の家に向かう関衛門の後をついて行った。

「何度来ても通さねーど!」と吾一。

その吾一の脇で奥さんの「つる」と息子の吾介、その妻「たけ」が黙って聞いていた。

武造は、その場の重々しい雰囲気を感じながら・・・“ちらっちらっ”とその人たちを見ていた。


その日も通行許可が得られず、がっかりする関衛門。


新しい家は、吾一の田んぼの前で止まってしまった・・・。


「このままだと何時になったら通れるか分からねー・・・」と力なく話す関衛門。

「家はすぐそばまで来ているではねーか!・・田んぼの中にこのまま置いていたら心配だず・・また夜のうちに誰かに家の中をいたずらされたりしたら・・・」と心配するヨネ。

「そしたら、住んだらえぇー!」と関衛門。


まだ田んぼの中で、目的地に来てない新しい家にとりあえず住むことにした。

今までの間借りで住んでいた家から、必要最小限の物を運びだし新しい家に運んだ。


その様子をふんぞり返って見ている吾一。


ふんぞり返る吾一の姿を見て武造は、落ち着かなくなった・・・

“あっちうろうろこっちうろうろ”し始め、何かを考え始める…


(武造がまた何かを考えているよーだ・・)と思うマツ。


田んぼの中にある新しい家に住みながらも、毎日、関衛門とヨネは吾一の家に行き通行の許可を得ようとする・・

そのたびに、武造もついていった。


しかし、吾一は手ごわかった・・なかなか通そうとしない・・・。


そして、2週間が経った。


武造は、マツに自分についてくるようにいった。

(どこに行くんだべ・・?)

ラベル:反対者
posted by junko at 14:14| Comment(0) | 新・武造とマツの物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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