「武造とマツの物語(新)」

【小説】 身体障害者に理解がない時代にマツは、幼少のとき親同士で決め

た「ろうあ者」との結婚のため養女にいく。偏見や逆境に遭いながらも前向きに生きていく。



2011年11月25日

鉄釜に焦げついたご飯 第120回

(もっとご飯、食いてーー)

ご飯のおかわりが出来ず、味噌汁と漬物だけでは満たされないマツは、養女に来て初めて「真っ白いご飯を腹いっぱい食べれない」ひもじさを感じた。

(米の収穫までの辛抱だ・・・)

そう思っても、今までご飯を腹いっぱい食べてたお腹はすぐには順応しない・・・

釜の中を見てもおかわりの分のご飯はない・・

武造、そして関衛門とヨネも、ただ黙って一杯限りのご飯、味噌汁と漬物を食べていた。

それぞれが、家の引っ越しをする前までは、予想していないことだった。


(オラ、ご飯が食いてー・・)

マツは、自然と空っぽの釜に目が向く・・


(あっ!♪ ご飯がある!!)

マツは、鉄釜の中にまだ食べれるご飯があることに気付いた!

薪で炊いた鉄釜のご飯は、しゃもじでは取れないほどに鉄釜に焦げついたのがある。

マツは、ペッタンコに焦げ付いたご飯が食べたくなる・・・

マツは、洗い場に釜を持っていき、釜の中に水を入れた。
しばらくすると、釜の内側に焦げ付いて堅くなっているご飯が柔らかくなる。

ご飯粒の形が全くない、くっ付いて“ぺったんこ”になったご飯を取り、そのようにして洗い場で食べた。

(ふっくらご飯ではねーけど、この焦げ付いた部分もけっこう旨いもんだ!♪)

今まで、ふっくらご飯を腹いっぱい食べて、釜の内側にこびりついたものには見向きもしなかったマツだったが、

焦げ付いたご飯を食べたい一心で、

(今度は、どんくらいくっ付いてるべか・・?)と釜の内側を見、鉄釜を洗うことが楽しみになった。


ヨネがマツに言った
「ワラビとゼンマイを売ってきてけろ」

ヨネは、毎日のように山に行き山菜を採ってくる。

その山菜をマツが、籠に入れて行商に出かける。

採れたての山菜は、よく売れた!!
売れて気分良くなっていたマツは、最後に下駄屋に入った。

「ワラビとゼンマイだ!近所の人たちも、この山菜を食べれることが嬉しいと言って買ってくれただー!残り少なくなっているけんど買ってくんねーか?」

下駄屋の女将は、マツを見て微笑み言った
「オメーは、えらいなー、オラ、オメーの事を感心してたんだー」

マツが言った
「オラのことが・・?」

下駄屋の女将がこたえて言った
「んだ、ほんとにオメーをオラの息子の嫁に欲しかったず・・」

そう言う女将は、何か煩っていそうな顔をしていた・・

[この下駄屋は、以前マツに嫁に来ないか?と誘った事がある家だった]

女将が言った
「マツ、誰もがオメーのような心を持っているわけではねー、オメーは辛抱強く気立てが良い」とマツを褒めた。

マツは、何かを煩っていそうな女将が、自分のことを褒めるのが気になり聞いてみた。

「何かあったんですか?」

ラベル:鉄釜 ご飯
posted by junko at 13:12| Comment(0) | 新・武造とマツの物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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